「あなたは子供のころ、麻疹の予防接種を受けましたか？」と聞かれて、自信を持って「麻疹の予防接種を受けました」と答えられる人はどのくらいいるのでしょうか？
実は、麻疹の予防接種の効力は10年とも言われており、子供のころに受けた予防接種が、今でも効果が持続しているとは言い切れないのです。
そこで今回は、30代～40代のあなたには特に気を付けてほしい、大人の麻疹の予防接種の時期や費用・値段についてまとめてみました。また、副作用や効果など妊娠中の対応についてもご説明します。
麻疹の予防接種と効果の期間について
麻疹の予防接種は、ＭＲワクチンとして1歳以降と就学前に行われ、2回接種でワクチンを定着させます。例外として、2007年ごろに10代から20代の方に流行した際、特別措置として、この年代の人や高校生を対象に2回目の接種が導入されました。この時何となく通り過ぎてしまった世代の方はすでに30代～40代になっており、この年代の麻疹の罹患が問題になっています。
国立感染症研究所の統計では、30代と40代を合わせると、約50％の割合で、麻疹にかかりやすい危険性が指摘されています。2007年の統計では、麻疹にかかった人のうち、予防接種が未接種の群と1回接種の群に麻疹の罹患者が多く見られました。
緊急情報
こうした事態に、国立感染症研究所は2016年8月25日に緊急情報を出しました。
「全国各地で麻しんの患者報告が相次いでいます。今年は特にアジアの国々（インドネシア、モンゴル等）に渡航歴のある患者の届出報告が目立ちます。」との書き出しで、定期接種未受診者に対する呼びかけと、麻疹の症状の説明、麻疹と診断された場合は、「麻しん発生届」提出を発信しています。
抗体保有率と年齢表
国立感染症研究所から、年齢別の麻疹抗体保有率のグラフが発表されています。
この年齢表を読み解くと、感染予防が可能と判断される抗体価レベルを達成している割合は、全年代で70％から85％の範囲に収まっています。しかしながら、この中で低い年代層はどこかというと、0歳を除いた場合、10歳から14歳と、25歳から40歳の年齢層となっています。
そこで、麻疹の予防接種の時代の変遷を年代ごとにご紹介します。この記述は、逗子市役所福祉部国民健康化健康係が発信しているものです。全ての年齢を紹介することはできませんが、30代～40代の方には特に見て頂きたいと思います。
・昭和37年4月1日以前に生まれた女性
定期予防接種の機会はなく、自然流行という形で免疫を獲得する時代でした。
・昭和37年4月2日生まれ～昭和54年4月1日生まれの女性
中学生時代に学校で集団予防接種を行っていました。
・昭和54年4月1日以前に生まれた男性
定期予防接種の機会はありませんでした。
・昭和54年4月2日～昭和62年10月1日生まれの年齢
平成5年（1993年）にＭＭＲ（麻しん・おたふく・風しん）ワクチンが中止され、未接種であった年齢です。平成7年（1995年）の予防接種法の改正により経過措置として、この年齢の人に対して平成15年（2003年）9月30日までの間まで風しんの予防接種が実施されましたが、接種率は低いと言われています。
・昭和62年10月1日生まれ～平成2年4月1日生まれの年齢
予防接種法の改正により、生後12か月～90か月未満で1回の風しんワクチン定期接種が開始されました。集団接種から個別接種となり接種率が高くない年齢と言われています。
これらの記述を見ると、ちょうど30歳の年代の人たちから40代の方にかけては、接種率の低い世代となっているので、特に妊娠のタイミングにあたる女性には気を付けて頂きたいと思います。さらに妊婦が麻疹にかかると、早産や流産のリスクが高まるため、未接種且つすでに妊娠されている方は、人ごみに出ないなどの対策で十分に自衛をしましょう。
予防接種の効果はいつから？費用は？
麻疹の予防接種は、毒を弱めた麻疹のウイルスを体内に入れることで、抗体を作ることを目的としています。この予防接種を受けてから、抗体が作られるまでには少なくとも約2週間の時間がかかると言われています。未接種の方で、海外に渡航する予定のある方は特に、2週間以上の日程を考えて予防接種に行くことをおすすめします。
万が一、未接種で、麻疹にかかっている人のそばにいた場合、感染から72時間以内に麻疹ワクチンの予防接種を行えば効果が出るので、心当たりのある方は、早めに病院へ問い合わせをしてください。費用はＭＲで、1回あたりおよそ10,000円前後で受けられます。2回接種なので、20,000円～30,000円と考えておきましょう。
