霰粒腫はものもらいの一種で、無菌性のものをいいます。ざっくりというと、まぶたにできたニキビのようなイメージです。この霰粒腫にも急性霰粒腫と非炎症性霰粒腫があり、痛みの酷いものが急性霰粒腫で、痛みはないが、ゴロゴロとした異物感のあるしこりが生じているものを非炎症性霰粒腫と言います。これらの霰粒腫の状態によっては薬での治療のほか、手術をした方が良い場合もあります。
そこで今回は、霰粒腫の原因や症状、目薬や自然治癒で治ればいいけどやっぱり手術が必要?などといった霰粒腫についての疑問を解決していきたいと思います。
ものもらいと霰粒腫の違いとは?
ものもらいと霰粒腫の違いについては冒頭でも述べたように、基本的には同じものです。ものもらいには2種類があり、ものもらいのうちの1つの種類を霰粒腫と呼びます。今回取り上げる霰粒腫のほかのもう1種は麦粒腫といいます。
ものもらいの罹患数に占める割合でいえば麦粒腫の方が多いのですが、霰粒腫は市販の目薬では治らないうえに最悪手術かもしれない、しかも再発を繰り返すかもしれないという、麦粒腫よりもちょっと厄介な種類です。しかし、急性霰粒腫になり、痛みを感じることは稀です。ほとんどの場合、痛みを伴わない非炎症性霰粒腫と言えるでしょう。
麦粒腫との違いは、麦粒腫が黄色ブドウ球菌などの細菌に感染することで起こる炎症反応ですが、霰粒腫は、菌に侵されずに生じた無菌性のしこりです。
自然治癒や目薬では治らないのか?
大抵の霰粒腫の場合は、自然治癒で治すことが望めます。
しかし、視界を遮るような大きすぎるもの、痛みを伴ってきた、長期的になくならないなど、医師が必要と感じた場合には手術が必要となります。また、手術を行わない場合は、感染予防のために抗生物質や抗炎症剤の目薬や軟膏の処方をされます。これらの薬は市販では手に入らないものなので、痛みがない場合でも放置せずに、なるべく小さいうちに眼科に行った方が良いでしょう。そして、この目薬で炎症が起きないように様子をみながら、自然に吸収されることを待ちます。
また、目薬で効果が見られなかった場合には、ステロイドの皮下注射を行います。それでも小さくならない場合には手術を検討することになるでしょう。
霰粒腫はうつるものなのか?
ものもらいというものは、霰粒腫でも麦粒腫でも人から人へ感染することはありませんが、汚れた手で目を擦ると細菌が目に入り、麦粒腫になることはあります。
特に霰粒腫は、菌を介してかかるものではないため、感染の心配をしなくても大丈夫です。なぜ感染しないのか理解、納得していただくためには、霰粒腫について詳しく知っていただくのが一番早いでしょう。
霰粒腫にはなぜなるの?
まぶたの淵にはマイボーム腺という特殊な皮脂腺があります。このマイボーム腺は油分を分泌して涙の成分に油分を加えていますが、この出口が詰まり慢性的な炎症が起きた結果、肉芽腫という塊ができたものです。この肉芽腫の部分が炎症を起こすと、急性霰粒腫となり痛みや腫れを生じますが、炎症さえ起こさなければ、非炎症性霰粒腫と言って、腫瘤が小さければ自然に吸収される場合もあります。
霰粒腫にかかりやすいのは、年齢に関係なく食生活が乱れている方に多く、脂質に偏った食生活が原因と考えられています。また、ホルモンのバランスが乱れている方もかかりやすいので、一度霰粒腫を経験した方は特に、規則正しい生活リズムや食生活の乱れに気を付けましょう。